巣箱の王子様
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巣箱の王子様

秋平しろ

ふわんと軽やかなのに締め付ける

2024年4月18日
ふわっと軽やかなのにぎゅっと胸を締め付けます。
庶務課の青柳くんは元気いっぱい、仕事に一生懸命、そして素直。
家に来た人にはペットボトルじゃなく当然のように急須でお茶を入れるし、簡単なお弁当だって自分で作って会社に行く。
誰からも愛されるべき人なのに、家族以外から「君じゃなきゃだめだよ」という愛情を向けられたことがない青柳くん。
今まで男性からされた仕打ちの積み重ねがあまりにも酷くて、社内の王子への想いにも「僕なんか」という言葉がどうしてもまず先に出てきてしまう。
一方の王子、社内のスター片桐部長もキラキラした見た目の内側には小さな傷や大きな傷が心の内に長年積もりに積もっている繊細な人。
優しすぎて独り内に篭ってしまう浅桐部長、優しくて前向きな青柳くん。
二人が出会えたことでお互いが救われて行く過程がギュッと胸を締め付けます。
出て来るキャラクターも(青柳くんの過去のオトコたち以外)みんなすごくいいキャラで優しい。
笑えてほわっと和んで、でもその間もなんだかダラダラと涙がこぼれてしまう、素敵な作品です。
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