COLD
」のレビュー

COLD

麻生ミツ晃/木原音瀬

素晴らしい作品、戻ってこれなくなる

ネタバレ
2024年4月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 最初に書いておくと話も絵もとても素晴らしい作品です。ラストもこれが現時点のベストだと思います。が、読んでからどうしてもぐるぐると考えてしまうので、感想や妄想を綴っているだけなのですがひとりで抱え込むにはしんどすぎたので書きます。3巻目を読み進めて辛さのあまり何度も読むのをやめようかと思いながら、きっと幸せになるはずだからと読み切りました。 記憶が戻った透と藤島にとっての最良が描かれていました。(ただ、遺族の方が辛いのは読んでいてしんどかったです) お互いに幼くて、守ってくれるはずの大人に守られず、傷付けられて過ごした子供時代。透は一番の加害者である藤島母ではなく、優しくしてくれたお兄ちゃんを恨むのが辛かったです。人間は全く助けてくれなかった人より助けてくれた人を憎むといいます。透は知らなかったけど、藤島も虐◯の被害者です。心が壊れても狂ってもおかしくないくらいの虐◯で、実際何も感じなくなっていたので心を病んでいたのでしょう。そんな藤島の唯一の光だったのが透。人形のようだった藤島に6年間の透が人として愛し愛されることの幸せを教えたのだと思うと「助けて……透」が本当に辛かった。6年間で藤島は透に救われ、記憶が戻ってからは透が救われたお話だったと思います。 個人的には記憶が戻らないあの素直でかわいい透と自分が幸せになってもいいのだろうかと悩みながらも、透に愛されてケーキを幸せそうに食べる藤島、そんなふたりで歳を重ねて欲しかった。ふたりでヨーロッパに行って透が作るご飯やケーキを食べて、ふたりで手を繋いで石畳の街を歩き、寒い日はベッドでくっついて1つの毛布に包まって欲しかった。慣れない異国で少し弱気のなった透が「藤島さんがいてくれてよかった、ずっと俺のそばにいて」と寝落ちる前に言うのを聞いて、藤島の瞳から涙が溢れるのを見たかった。幼い子を寝かし付けるようにおでこに口付けして、それが毎晩の習慣になって欲しかった。何年たっても藤島は自分がこんなに幸せでいいんだろうか?と今までのことを思って不安になるけど、透は大きな愛で藤島の過去ごと抱きしめてあげて欲しい。その腕に安心して泣く涙を優しく拭ってあげて欲しい。何十年後、皺皺の手を繋いでずっとふたりで幸せに暮らして欲しかった。ただそんな妄想を読み終えてからずっとしている。まだ戻ってこれそうにありません。
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