煙たい話【単行本版】
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煙たい話【単行本版】

林史也

息苦しいけど、希望がある

2024年4月24日
心理描写が多くて、ごちゃごちゃしてない。するすると読めるし、静かに時が流れているような感覚になります。他のレビューにあるように、私もこの作品の空気感が好きです。ただ、『人と違うと煙たがられる』という日本独特の生きづらさを描いていて、息苦しくなります。いい年した男二人が一緒に住んで何がいけないんだろう?関係に名前をつけないといけないんだろうか?正しくあろうとすることはいけないんだろうか?
特に、武田くん。学校に蔓延る『きまりを守れ』『皆と同じように生きろ』という同調圧力とのコントラストが現れているし、良い人すぎて苦しくなる。それを有田くんが見守ってくれていて、彼を分かってくれていて、読んでいて安心します。息苦しいけど、暗い気持ちにはならないし、読後は穏やかな気持ちになりました。
今後の展開では、もっとお互いの家族のことがでてきたりするのでしょうか。続きが待ち遠しいです。
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