先生、その恋 死んでます。
」のレビュー

先生、その恋 死んでます。

志々藤からり

作家同士の出逢いと新たな一歩

ネタバレ
2024年4月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 大作在学中にデビュー小説で大賞を獲った才神律太は、実家が裕福なこともあり気楽な生活をしています。ただ2作目の執筆が思うようにいかず、祖父から海の近くの古いアパートから立ち退かない住人の説得を申しつけられます。弁護士まで立てて居座る住人に戦々恐々として行ってみた律太は中学生らしき少年と出逢います。一目で律太を見分けた彼こそがアパートの問題住人の時任海、人気ラノベ作家の甲斐トキトでした。見た目と違って律太の3つ年上の27歳である海は物書きらしい鋭い目と明晰な言語感覚、そして見た目通り10代半ばのままの精神年齢というアンバランスさで成り立っていました。タイプだったこともあり早速海と関係を持つようになった律太は、施設で育った海に書くことを教えて夭折した作家の先生の存在を知るのでした。憧れのまま死んでしまった先生のそばから離れられない海を、その想いごと律太が引き摺り出します。作家同士らしい丁々発止のやり取りが痛快です。単行本『ワンナイト エバーアゲイン』に同タイトルの続編か掲載されていて、海辺の町を離れた二人のその後が描かれています。
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