餓えた犬は肉しか信じない【電子限定描き下ろし付き】
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餓えた犬は肉しか信じない【電子限定描き下ろし付き】

暮田マキネ

最後まで読み終えて立体的になる人物相関図

2024年4月28日
定食屋での子ども食堂を舞台に描かれる3カップルのおはなし。

タイトルの印象で、もしやマキネ先生がハードボイルドに挑戦なさったのか!?と思ったりしましたが、いつもの先生の儚げで優しくて切なくて愛おしい、素敵なお話でした。

秀逸だったのは、3つのお話の順番でしょうか。
3話で最初のカプのお話が終わって4話目に入ったときに、
ん?スピンオフ?と一瞬思いましたが、違いました。
実際、作品のタイトルは同じで、あくまでも「4話、5話…」と目次にも書かれています。
最初のカップルが19年ぶりに再会した「ごはん屋 まる」。2人の恋愛模様を読んでいるうちに、ここがどういう場所なのかを知っていきます。
2組目のカップル。この2人にとって、「まる」は出会いの場でもあり、また拗れる原因ともなる大切な「居場所」。
3組目は、この「まる」の店主ふたりのお話。ここまで「まる」がどれだけ沢山の人に影響を与えてきたか、大事に想われているかを熟知した私達が見るのは、「まる」の生みの親でもある 現店主のお父さんとの関係や、「まる」が始まった経緯、そしてここまでずっと登場していた可愛い弟「楽」との悲しくも暖かな出会いの秘話。

この素敵な人達に、そんな過去があったのか、そんな時間を過ごして来たのか、
どんな思いでこのお店をやっているのか、どれだけ深い絆があるのか。

全てを目の当たりにして、ぴたぴたと符合して繋がった瞬間の感動は何とも言えなかったです。
別に、何か伏線が張られていたりとか、どんでん返しがあるわけじゃない。
あくまで日常を切り取ったようなささやかなお話、でもこの秀逸な構成によって何か壮大な物語を読み終えたような読後感でした。
当然、この相関図をゲットした上で、もう一度読み返しに行きました。
当たり前です。読み返したくなります!

極めつけは、最後のおまけで4カップル目が誕生!?
全然予想していなかったので、嬉しいサプライズ!
是非この可愛らしいカップルで、もう1冊出して欲しいです。
この2人が主役なら、当然あの3カップル達も登場するでしょうしね。
読みたい読みたい読みたい~~!

はあ、ほんとにもぅ、最高ですマキネ先生!!!!
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