2世と器
」のレビュー

2世と器

戸ヶ谷新

題材も切り込み方もよかったが

ネタバレ
2024年4月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 珍しい題材だし、切り込み方も好きだったが、カルト団体の描写の甘さが目に付いてしまった。
永真はカルトに縛られる割に自由行動できているし、高校にも通えている。カルトと対決して警察が乗り込む描写もふわっとしていてリアルさが足りない。
始まり方も、中盤までの思い悩んで足掻く描写や、共感や味方を得て心が緩む描写はすごくよかったので、終盤で拍子抜けしたのが残念。
そして普通の恋愛ではなくより包括的な愛を表現したかったかもしれないが、アロマンティックを取り入れる必然性があったのか。エピローグも、恋愛志向に思い悩んでいるのに、そんなすぐに体重ねる気持ちになるのか、BLのお約束だからこのシーンを挟んだ印象だが、トロンボーンの話まででよかった。
題材のためか、気になる点はあるものの、次も楽しみな作家さんだった。
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