十字架のろくにん
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十字架のろくにん

中武士竜

悪魔との闘い

ネタバレ
2024年5月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 至極京は悪魔だ。至極の掲げるスローガン【自己革命】とは何なのだろうか。至極は、まるでゲームで敵を潰していくかのように、意味も無く簡単に、尊い命を奪っていく。それで何か自分が求めるものが見つかるとでもいうのか。糞ほどの役にも立たない、生まれるのは地獄だけ。至極は狂っている…至極の狂気が生まれつきのものなのか後天的原因によるものなのかはまだ描かれていない。謎である。
一方、至極と対峙する漆間俊も、人の命を奪うという許されない罪を犯してはいるのだが、漆間には、今は亡き愛するものたちへ捧げる復讐、という大義があるのだ。
漆間は、家族(両親、弟、祖父)、白川要、猫など愛するものたちの命を至極によって失い、一人罪を背負って投獄もされて、底の見えない絶望を味わっているのだ。
この作品では、人の心の不安や迷いなどの隙間を狙って宗教(スピリチュアル)を利用して、至極は、【自己革命】という名の悪魔の暴走を発動して、地獄絵図を繰り広げていく。
ひたすら胸糞悪いだけだが、人が想像できることは現実に起こり得るのではないだろうか。恐ろしいが他人事ではないのかもしれない。
至極との闘いは悪魔との闘い。漆間は、これまでに流された血によって染められた重い十字架を背負って闘い続ける。 私は、ただ、心を虚無にして、この漆間と悪魔との闘いの行く末を見守ることしかできない...
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