消せない「私」 ~炎上しつづけるデジタルタトゥー~
黒田しのぶ
このレビューはネタバレを含みます▼
ずーっと気になっていた1冊です。引き込まれて一気読みしました。平凡な女子高生・硝子は、美容系のユーチューバー徳道(男)に見出され、JKブロガーとして活躍し始めた。が、それを良しとしない同級生たちに嵌められ、辱めを受け、動画を撮られた挙句ネットに晒され、見知らぬ人たちによって炎上される。さらに家は放火され両親は他界。硝子に残ったモノはネット上に配信された消せないデジタルタトゥーだった。自分をこんな目にあわせた同級生に復讐するために立ち上がる硝子。世間ではこの行動を良しとしないのかも知れないけれど、私の感情はアリだと言っている。協力者もいれば、意図せず邪魔というよりは危険に晒している?警察官もいる。硝子目線で読んでいる私からすれば、この警察官(一応友達)は、硝子に寄り添えない一般論を並べているとしか思えない。ラストに協力者として硝子に寄り添う氷室の存在は、硝子にとって心の支えになっているだろう。硝子の言葉に寄り添い、たぶん硝子の最期に立ち会い、硝子の願いを叶え続けている氷室。こういうヒトがいてくれて、硝子に少しでも癒やされる時間があったのなら良かったと言えるのかな?家を焼かれ、家族を亡くし、自分の動画を2度も拡散された硝子。彼女の願いが叶えられ、彼女の心が幸せになれたのなら、良かった…と言えれば良い。
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