このレビューはネタバレを含みます▼
武士と英国紳士の組み合わせにブロマンスな匂いを感じましたが非BLです。
現代において文字通り「武士」として生きる隼人と日本語が堪能な英国紳士アンソニー。
お話は英国紳士をホームステイさせる事から始まりますが、「武士登録制度」という設定がある事で面白いと同時に深く考えさせられる内容でした。
アンソニーが武士や武士道についての素朴な疑問を隼人や他の武士達に投げかけていくのですが、武士道のみならず多様性やアイデンティティにも触れてくる。だからか読み手も自然と考えさせられるので哲学的な面も併せ持つ作品だなと感じました。中でも「水」と「器」の例えは先生の優しさが感じられていいなぁと。
文中で様々な問題提起がされているように思うのですが、決して重くならない絶妙なバランスはさすが榎田先生です。ラストは2人の友情に幸あれ!と清々しくなる読後感でした。