ポメ耳絵本作家は見習いパパと愛情ごはんをいただきます
葉山千世/古澤エノ
このレビューはネタバレを含みます▼
ラブストーリーに区分けしていいのか正直少し悩みました。「担当編集×後天性耳尻尾つきの新米絵本作家」ふたりが結ばれるお話では確かにあるんだけれど、そこに行き着くまでが今作の主題だと言ってもいいくらい。
編集さんの従姉妹の子であるおとくんの成長と救済。親子でない三人がそっと身を寄せ合いながら傷つき大切なものを失った互いの心をあたため合う。
そこに焦点が置かれていて、つぐくん(この呼び名は本当にかわいかった)の徐々に大きくなり始める白石さんへの恋心は、従姉妹の存在が浮かび上がって来たときにのみぎゅっと胸を締め付ける塩梅で。
だから恋愛要素を熱く望んでいる方は、前半だけ読んだらちょっと拍子抜けしてしまうかも。あとがきにもあった通り、作者さまの中では書き始め当初つぐくんのお相手は主治医の隼斗先生の予定だったそうですから。白石さんとつぐくんの恋愛模様が浮き彫りなるのは突如、本当に終盤。
(隼斗先生、再会当初は相手役適任!って思うほど優しい方でしたがある場面から若干ストーカーのようになったり、医者であるのにつぐくんを重荷であるような言い方をしたり…。この辺りも読むにあたって注意が必要。無理矢理悪役にされた感も否めないですがね)
読んでいて胸が高鳴るエピソードや、白石さんとつぐくんが互いに惹かれ合っていることが見てとれる描写も本当に少なくて、ストーリーは緩急がついてないというか、とても単調。我に帰るのが怖くて早足で読みきりましたが、ううむ。ごめんなさい。ちょっと自分にとっては共感・世界観に入り込んで楽しめる内容とは言い難かったです。
助詞の使い方で若干気になるところもありましたし…。
私が耳しっぽ付きではないからでしょうか。先生の他作品もこれから読んでみようと思います!!
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