人の役に立つということとはなんなのか





2024年5月10日
「ジークの左手」の寓話性を思うに本作は、ジークあれからどうした?との読み手の好奇心に応えた意味以上に、あの時蒔かれた種のひとつの彼の存在意義、というアンサー漫画みたいな感触があった。話は黒くて暗いのに、画面が白くて希望を明るく持ちたいファンタジー、そんな前作から、今回はまだまだ引き摺るかのように冒頭から、場面の白っぽさとは皮肉なくらいに対照的な後ろ暗い主人公登場で、なかなかに気分が重い。少女も如何にも薄幸風吹かしていて救われない話かもと身構える。
しかし彼は客として接触しに行った母子に大層喜ばれるという「善行」を見せる。ここが「ジークの左手」に連なるところであり、本作の大きな転回部。
この腕(能力)こそが彼がその業とするものの持つ後ろ暗さであり、同時にひとさまから求められる一種の奇跡の光。前作は功罪の内の「罪」部分強調してた。
本作は彼は生きるためにおこなっている側面を示していることから、彼の損得勘定を根拠にその腕に関して少女に(読み手にも)安易な期待を抱かせない。
しかし救いのある話に仕上がっている。
描線に何処にも劇画タッチがないために、リアリティを見せない絵本仕立てではあるが、その世界で得られた彼女(少女)の居心地は、読み手のこちらにも読後居心地良くさせてくれる。
前作の強烈な恐ろしさや不条理、奇妙に強引な寓意が、本作は引っ込み、緊張絶えない前作にはあまり味わえなかった静かなスローな感じ、この頁数でも持つ落ち着きが冒頭の彼の行動の不可解さのそばにもずっとある。
衝撃は前作に、含みを残しつつ着地を一旦本作で、という印象だ。
しかし彼は客として接触しに行った母子に大層喜ばれるという「善行」を見せる。ここが「ジークの左手」に連なるところであり、本作の大きな転回部。
この腕(能力)こそが彼がその業とするものの持つ後ろ暗さであり、同時にひとさまから求められる一種の奇跡の光。前作は功罪の内の「罪」部分強調してた。
本作は彼は生きるためにおこなっている側面を示していることから、彼の損得勘定を根拠にその腕に関して少女に(読み手にも)安易な期待を抱かせない。
しかし救いのある話に仕上がっている。
描線に何処にも劇画タッチがないために、リアリティを見せない絵本仕立てではあるが、その世界で得られた彼女(少女)の居心地は、読み手のこちらにも読後居心地良くさせてくれる。
前作の強烈な恐ろしさや不条理、奇妙に強引な寓意が、本作は引っ込み、緊張絶えない前作にはあまり味わえなかった静かなスローな感じ、この頁数でも持つ落ち着きが冒頭の彼の行動の不可解さのそばにもずっとある。
衝撃は前作に、含みを残しつつ着地を一旦本作で、という印象だ。

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romance2 さん
(女性/60代~) 総レビュー数:1852件
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アヲアラシ さん
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