水辺の夜【タテヨミ】
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水辺の夜【タテヨミ】

euja

現在第3部最新話まで読了★5です

2024年5月14日
オメガバース作品はよく見ますが、一部を除きストーリーを求めたことがないので、まさか韓国作品でこんな良作に出会えるとは思っても見なかったというのが正直な感想です。
あらすじで分かる通り、攻めのテジュはαらしく真っ当にΩの主人公、イヒョンの肉体を借金の取引として求めますが、ヤクザなのにテジュは口は悪いものの優しく、そのせいかイヒョンの反応がとても可愛らしいです。オメガバースによくある設定もかなり省かれていて、心情描写を邪魔することなくスムーズに読めます。
受けのイヒョンがあまりに強気で、でも一方でか弱くて、やっぱり反抗的で、その描写がもしかしたらテンプレのツンデレに見えるかも知れませんが、本人は今まで処女だし生きるだけで精一杯だった虚勢に過ぎないものだったと分かる描写も巧みです。攻めがそれに気付いた時の描写が、その抵抗があってこその彼だったと気付いた時の攻めの表情が、今まで見たことないほど素晴らしかったです。だからこそ、テンプレツンデレが食傷気味でも、イヒョンの乱暴的な描写は見ていてストレスがありません。あと単純に、第1部〜2部のテジュが性格的にも酷かったので、いくら殴っても採算が採れてると感じさせるのも巧みですね。本当に受けのイヒョンを愛してしまったと気付いてから自身の行いを後悔する心理描写は胸が苦しくなるほどです。
たとえオメガバースでなくても成立すると思う世界観ですが、オメガバースだったからこそのストーリーが生きる、非常に繊細に作り込まれた名作だと思います。心からおすすめ出来る作品です。
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