沈黙の女神
」のレビュー

沈黙の女神

もり/紫真依

よく練られたストーリーではありますが‥

ネタバレ
2024年5月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 王妃ヒロインは父王との約束がある上に声が出ない、
一方、国王ヒーローはまだ若く国王としても夫としてもまだまだ未熟、(わたしは従兄弟推し(笑)
おまけに性悪女が出張っていて、とにかく焦れ焦れ感が半分以上続き長いです。
胸糞展開が長くても悪役がきっちり成敗されて、
ハッピーエンドに至る過程で鬱展開を覆すくらいの怒涛のラブラブ感なら
読者として報われるけど、そこはイマイチかな。
まず、ヒロインがヒーローとその国の人々に受け入れられていく過程が描写不足で、楽しみに願っていたのにヒーローの簡単な説明だけでは気持ちが盛り上がらなかった。
ヒロイン父王を実兄と従兄弟がクーデターで倒す前後も盛り上がる展開かと思ったら説明だけであっさり終わったし、ラストもヒロインと子どもたちにヒロイン兄や従兄弟と再会させてあげたら大団円だったと思う。
でも、一番モヤモヤするのは、
ヒーローがヒロインを目の前にして性悪女を最後まで心配する描写があったこと。ヒロインが意地悪されていたの知らないなら愚鈍だし、知っていて言ったならヒーロー失格よ。ヒロインを侮辱したアンセムのことは殴れたのに、性悪女の悪意からは最後までヒロインを守れなかったのはなぜ?
しかも、その女の心配とは呆れる。
女をはっきり突き放せない優柔不断な自分のせいで、誤解を与えてヒロインを苦しめたことも謝罪してないし。
アンセムもだけど、あの性悪女にいたっては最後まで王妃ヒロインを軽んじたまま改心もせず、
他国へ嫁がせるだけのヌルい制裁な上に、
頻繁にヒーロー個人に手紙を送ってヒーロー自ら返信までしてるなんて読後感も台無しだわ。
せめて、性悪女が心から謝罪して改心するか、
展開上、悪役のまま締めるなら、
ヒロイン以上に苦悩したり絶望する描写がほしかった。それでやっとヒロイン虐めをチャラにできるのに。
個人的に見たかった描写は不足だったけど、
文章はお上手だし、展開はよく練られたお話でした。
でも、
妹的存在だろうと実妹だろうと、
ヒロインを苦しめた性悪女にまで優しくするヒーローは好きになれないし、それを器が大きい男とは思わないので自分には合わなかったです。ごめんなさい。
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