このレビューはネタバレを含みます▼
学生時代に、少しばかりの胸の痛みを持った事のある方には響く作品かもしれません。
お互いに相手のことが好きで、恋人同士であると信じていた片方が、妊娠を疑い産婦人科に検査に行こうと約束した日から、突然の音信不通。責任から逃れる為の別れだったのか、残された方の悲しみはどれ程のものだったのか想像に難くありません。
しかし、無言で去らなければならなかった方にも相応の理由があり、全て詳(ツマビ)らかにしなかった事が、7年後、新しい十字架になって重くのしかかってきます。
気持ちを残したままでは、どれ程時間が経とうとも「忘れてしまう」事は難しく、蘇る恋慕。けれどそれは、今現在の幸せを脅かし、縋(スガ)る幼子の手を守りたい思いとはウラハラで・・・。
当初、作画の口の位置や形が気になりましたが、2巻になり段々解消されてきました。
初読みの作家さまで、どれ位のキャリアの先生かわかりませんが、お話の根底にある「その理由(ワケ)」は重く、なかなか作り込まれたストーリーだと思いました。