黒曜の災厄は愛を導く
」のレビュー

黒曜の災厄は愛を導く

六青みつみ/カゼキショウ

モヤモヤ異世界

ネタバレ
2024年5月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ 異世界アヴァロニスの次王候補の1人レンドルフと、黒髪黒瞳の高校生鈴木秋人のお話。

異世界トリップもの。
が、作者が作者なので(笑)、非常に過酷です。
過酷過ぎてトリップ先の国が全然好きになれませんでした。

正直、迫害されている「黒曜の災厄」の人々とレンドルフ以外に良い人がいません。
ただでさえ神子ではない秋人は言葉が通じないのに、見た目がアヴァロニスでは忌み嫌われる黒髪黒瞳のため、秋人が神子である春夏を守ろうとしたり、子供が虐/待されているところを助けようとしたり、明らかに良い行動をしているにもかかわらず、反対に傷つけられようとする世界。

王宮内で殺されそうになり逃げだした先でも、髪と瞳、言葉のせいでハードモード。
盗みを働くことに後ろめたさを感じながらも生きるために行動し、サバイバル技術などでも意外な逞しさを見せる秋人をかなり応援したくなります。

やっと出会った唯一の友達(?)クロの存在だけが救いです。

辛い逃走期間が長く、最後は殺される寸前までやって来ないレンドルフ。
遅い!! とイライラさせられました(が、作者お馴染みの強○は無かったので、ちょっと安心しましたw)
唯一秋人に優しく接してくれる人物ゆえ秋人が惹かれていくのは自然な流れかと思われますが、この世界でなきゃどうだろう…と思うくらい放置されている感があります。
その後一緒に暮らして何度か「治療」をしていても放置気味なので、そりゃ秋人は誤解します。

言葉が本当に最後の最後寸前まで通じないので、レンドルフの気持ちも微妙に伝わりづらく、しかも最後のラブラブも少ないため、非常に物足りないまま終了してしまった感じでした。
BLなんだから、そこもっと!!

最後に春夏。
秋人目線だからか、人の気持ちに疎いのか、はたまた秋人に頼り切っているのか、秋人の気持ちに沿えない言動が多く、あまり感情移入できる子ではありませんでした。
春夏のせいではないのですが、王候補4人と××という話を聞いてからは特に。
治療とか色々理由はあるのでしょうが、秋人が苦しんでいる間にレンドルフは…と思うとモヤモヤ。

そんな春夏に嫉妬する気持ちを抑えられず、でも結局はピンチを放置できない秋人の魅力の方が勝ってしまい、次作で春夏主人公の話にあまり期待できないでいます。
それなら秋人たちのその後が存分に読みたい気がします。
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