言ノ葉便り
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言ノ葉便り

砂原糖子/三池ろむこ

言ノ葉シリーズ1作目の番外短編集

ネタバレ
2024年5月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ 本編では「声」が聞こえなくなった余村と長谷部がどうにかこうにか2人寄り添って歩むことになって終了していましたが、その後しばらくは幸せそうで何よりでした。

とくに2・3作目で、彼らのもしも的存在が10年も離れ離れだったのを見ていたため、何とも感慨深い。

本編でも感じていましたが、受けの余村が年上らしくリードする姿がかなり好きです。
今作でもふんだんに散りばめられており満足。

長谷部の妹に2人の関係を知られる展開は、余村には辛かったでしょうが、すぐには受け入れられない、むしろ反対というスタンスがリアリティがあって良かったです。
ただ、関係を知られたことがきっかけで長谷部と少し距離を置くことになってしまい、その間に余村がどんどんマイナス思考に陥っていくのが辛かったなぁ。

一度「声」が聞こえる経験があったからこそ、蘇るトラウマ。
夢か…と起きたはずが、それも夢だったとか…二段構え怖すぎる。
どんどん追い詰められていく余村でしたが、本編と違い、ここで別れるという決断にならなかったところに2人の絆が感じられました。
パラレルワールドの2人はこの時点で別れたのかな…とちょっと思ってしまいました。

妹との決着も良かったのですが、ずっと疎遠だった母親が余村に会いに来たのが何気に感慨深かったです。
大人になったことで母の気持ちも理解でき、近い未来でなくともいつか長谷部を恋人として紹介できるようになれれば良いな。
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