このレビューはネタバレを含みます▼
皆さんおっしゃるように、とにかく画力が素晴らしい。「漫画」よりむしろ「劇画」という方がふさわしい作画力。コミックって必ずしも画がうまければ面白いとは限らないけれど、ここまで圧倒的な画力を提示されると、それだけで有無をも言わせずねじ伏せられる気がする。正確な人体デッサンや、黒→グレー→白のグラデーションの緻密さが、背中の刺青、工場夜景、ピカピカに磨かれた靴などを、写真ではないかと一瞬惑わせるほどの立体感を伴って浮かび上がらせてくる。893である天授の、彫り物の入った筋骨隆々の背中を右斜め後方頭上から舐めるように描いた1ページには思わず息を呑んだ。いやーこれこそが漫画の醍醐味、眼福です😍。そしてこの漫画の魅力は画力だけではない。威圧感満載の体格でありながらも微笑みを絶やさず、どこか哀しげな下がり眉で、優しく方言で囁いてくる天授の色気たるや只事ではない。旧帝大出のお医者様であるウブな聖高が訳もわからないまま落ちてしまうのもわかるわ。この作品は天授の色気と可愛げを堪能するためのものと断言しても、あながち間違いではないと思う。「孤狼の血」と「シティーハンター」を見事にこなした鈴木亮平に天授はハマるだろうな、と思いながら読み終えました😄。