このレビューはネタバレを含みます▼
なにしろ表現力というか画力が高い漫画だと思いました。賞を獲った絵や、観覧者を釘付けにする彫刻、完璧な肉体、そう言ったものがちゃんと眼前にお出しされるのです。普通はモヤモヤっと誤魔化されてしまう「美術展で絶賛された絵」がちゃんと説得力を持って出てくる。
そんなオムニバスです。
正直初回は画力にやられてエロはすっ飛んでしまったので、諸刃の剣かな?と思いました。
読み直しで、やっと彼らの葛藤や愛情やキラキラした感情を受け取る始末。
でもやっぱり説得力ある絵だなぁ、と背景を目で追ってしまう…
「古いけれど趣のある家具たち」とセリフで出てくると、ちゃんと趣のあるいかにもな家具が背景に描かれる。
新進気鋭の彫刻家の家、海外のアーティストの家、
そんなものが違和感なくカタログ写真丸写しではなく、そこにちゃんと出てくる。
映画みたいに。
お話も切なくて良いのは、そのリアルな背景にキャラがしっかり溶け込んでいるからでしょう。
主人公が駅で見惚れて美大を目指すきっかけとなったポスター、とても良いです。
美術ももう一人の主役かなと思います。
マンガなのに背景の話ばかりしてごめんなさい。
お話もとても好きです。
続編も作られてて嬉しさ倍増です。