落花の王子と護衛騎士
」のレビュー

落花の王子と護衛騎士

有木映子

二人で生きるための逃亡劇

ネタバレ
2024年6月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 如何せん1巻完結なせいで展開が目まぐるしい。でも有木先生独特の雰囲気というか、淡々とした描写なので駆け足感はさほど感じません。
攻め、姉のためにスパイとして受けの国に6年間潜入⇒陛下暗殺の手引きをし国内を混乱に陥れる⇒受けを助けるフリをして受けと自分の祖国へ帰り、本当の雇い主である公爵へ受けを引き渡す=受けへの裏切り、をやってのけてるのに結局受けへの情が捨てられず何度も受けを助けてしまうし雇い主の公爵からも二人で逃げ出すのにそれでもまだ認められなくて、あらすじの『アンビバレントラブ♡』とかいうテンションで片付けられないくらい感情ぐちゃぐちゃで良かった。攻めが受けと受けの祖国に対して行ったことによる犠牲があまりにもあり、それでも受けがそれを受け入れて、それ以上にお互いに相手がいないと生きていけないというくらいに依存し合っていたのも良かったな。
ただ、攻め目線の出来事やモノローグが殆どない上に先述の通り淡々と進むのでもっと描写があった方が感情移入できてぐっときただろうなとは思いました。このお話は攻めのぐちゃぐちゃ感情を楽しむものだと思うので…………(個人の意見です) あと攻めが受けを疎む理由付けがちょっと弱いのが惜しい。
このお話は展開が詰め込まれている分一つ一つのエピソードがさらっと流されるので、こちらで考えなければいけない部分がちょっと多いかも。公爵の歪んだ執着とかもさぁ……あと攻めが公爵を裏切って逃げたことによって攻めの家がどうなったかも気になるよ……
本番は1回ありますが修正必要箇所なし。やった〜!とかより人の家でするな!!!!!になっちゃいました笑
お話自体も勿論ハッピーエンドですが、電子限定特典がすごくかわいくて明るい余韻なのが良かった!
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