君と運命についての話がしたい
」のレビュー

君と運命についての話がしたい

青梅あお

オメガバース世界のBL

ネタバレ
2024年6月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ この世がオメガバースであったら、こんなこともあるんだろうなと思える不思議と現実的なお話でした。

【高校時代から付き合い始め、今は一緒に住んでいる響と幸史郎。2人ともベータであるが故の『運命』や『番』への憧れや諦めを抱えている。響は、過去にバース検査の誤診があったニュースをきっかけに再び感情が揺れ動くが…】

オメガバースに関しては作品によっていろいろな設定が存在しますが、こちらはベータ同士は妊娠しない設定のようです。今のところ同性ベータ同士の婚姻制度もないみたいです。その辺りが話の筋にも大きく関わってくるので、そこは序盤ではっきりしておいてほしかったですね。

アルファとオメガであれば、いわゆる『運命の番』だったり同性間でも妊娠可能であったりと、カップルが深い絆を結ぶことが可能です。しかし主人公2人はベータであり、男性同士であり、公的な繋がりも持てない状態。そこに様々なジレンマが生じるわけですね。

…つまりこれは、確かにオメガバース世界のBLなのです。男女間のカップルで認められていることがゲイカップルでは認められていない。そのギャップに悩む展開はオメガバースでなくとも良くあります。それが『男女』だけでなく『バース性』にも及んでいるのがこのお話のテーマかと思います。

アルファやオメガであれば番になれたのに、男女なら家族にすんなり紹介できるのに、ベータの男同士だからままならない。葛藤がつらいです。響が再検査したい気持ちも良く分かります。そこを幸史郎が妊娠問題へと繋げてしまうのは少し短絡的ではありますが、きっと幸史郎自身がそれを望んでいるのかもしれませんね。切ない。

どの世界観でもジェンダー問題というのは難しいものだなぁと、真面目に考えてしまいました。ええい、こうなったらみんな妊娠できる世界であれ!(笑)
いいねしたユーザ2人
レビューをシェアしよう!