このレビューはネタバレを含みます▼
こころのひだを描くのが上手い作家様だなーと思ったら、「Re:dial」の作者様でした。以下ネタバレです。ゲイであることをアウティングされトラブルを起こし、生活保護を受けるクズ父とともに小さな部品工場を営む祖父のもとへ転がりこみ転校してきた岳。母親に捨てられた後、同性婚した叔父に引き取られたアロマンティック・アセクシャルの蛍夏。2人は親友として友情を育むが、いつしか岳が蛍夏に恋愛感情を持つようになる。しかし蛍夏は気持ちを向けられても恋も肉欲も全くわからず、同じセクシャリティを理解してくれる人がいない疎外感に悩むようになり…。悩む蛍夏は周囲とも岳とも距離を置き、2人はギクシャクしたまま高校を卒業。岳は祖父の工場で働き、蛍夏は大学入学を機に実家を出て岳との連絡を断つ。約7年後に再会した2人は、改めて【付き合う】ことにはなるのだが…。ここまでが1巻。2巻「ハローステップ」では【付き合う】2人にそれなりに波乱がおきます。積極的に岳にアプローチしてくる大学生男子も登場します。それぞれの毒親との決別もあって。読む前は、表紙絵がBLっぽくないかもと思ったけど、読んだ後はこの絵がいいんだと感じます。美少年でもスパダリでもない、クラスの中に普通にいそうな2人。でも内面は別のカテゴリーに分けられる2人。でも、それはほんとに【同じじゃない】のかな?そもそも【同じ】じゃなきゃいけないのかな?互いが大切だからこそ生まれる、互いへの不器用な想い。じっくり読みたい作品です。