殿下の騎士なのに「運命の紋章」が発現したけど、このまま男で通しちゃダメですか?
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殿下の騎士なのに「運命の紋章」が発現したけど、このまま男で通しちゃダメですか?

夜明星良/さばるどろ

ピュアなヒーロー

ネタバレ
2024年6月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ ヒーローが純真で可愛いです。まあ強引さはないので、無理矢理系が好きな人は好みではないかもしれませんが。ラブ系だけでなく、設定もしっかり構成されていて、ドイツ語を主体とする言葉や歴史設定がしっかり構成されていたのは作者さんがキチンと知識を持って書かれたからだろうなと思えたので、個人的には凄く良かったです。ストーリーもイジメ役の嫌な奴とかはいなくて、危機はあるものの皆いい人ばかりだったので、読んでいて嫌な気分になる事はなかったのも良かったです。

途中、ヒロインが騎士に拘るために自分の恋心まで封印しようと頑なだった点だけ、ヒーローが悩んでいるのにそこまで自我を通さなくても、と思うところはあったものの、そこがなければストーリーとして成り立たないというのもあるので仕方ないのかな?欲を言えば、ヒロインが意固地に感じられる前に危機があった方が良かったかも?とは思いましたが。

固定概念のせいで男女ともにそこから逸脱した人格だと生きづらい世の中に一石を投じる内容、ヒーローの父である王の「成文化されていない」しきたりを逆手にとった解釈と対応は見事な切り返しで、政治家っぽい手腕を見せる所も内容にリアリティを持たせていて、単なるラブストーリーではない読み応えのあるストーリーでした。(逆を言えば、単にヒーローとヒロインのラブイチャをサクッと読みたい人にはジレッたく感じるかもしれません。)
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