鬼滅の刃
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鬼滅の刃

吾峠呼世晴

「正しい日本の少年」の生き様がたまらない

2024年6月11日
アニメはもちろん素晴らしい。しかしそれも、この素晴らしい原作があったからこそと納得できる名作。炭治郎は倫理観・思いやり・正義感・努力家・友情にあついetcと、道徳の授業で推奨される美徳を全て集めて丸めてこねたような少年である。スレた大人からすると、最初は鼻白むほどのど真ん中過ぎる「正しい少年」なのだが…これがいいんだなあ。あまりに正しすぎ、一周回って「天然」状態になっているのも面白い。彼が、仲間の少年や先輩たちとの修行や交流、鬼との闘いを通じて成長していく姿には強烈に惹き込まれる。その過程で登場人物たちによって語られる名言も、日本人としての価値観を再認識するような心に残るものが多い。そして、原作者の人としての高潔さをこれほどダイレクトに感じさせる作品はそう多くない。こちらは少年少女の時代は既に遥か遠くなっている世代だが、それでも今後生きづらさを感じた時には読み返したくなる作品だと思う。
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