愛人を囲う冷徹な伯爵との典型的な政略結婚、そして嫌われからの溺愛、その結末。【シーモア限定特典SS付】
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愛人を囲う冷徹な伯爵との典型的な政略結婚、そして嫌われからの溺愛、その結末。【シーモア限定特典SS付】

宝楓カチカ/色素

深い深い深淵をのぞくような溺愛の物語

ネタバレ
2024年6月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 上下一気に読み切り、また始めから読むと、違う顔を覗かせてくれる、そんな壮大で壮絶な物語でした。
レナンドに残酷なまでに殺され踏みにじられた家族の復讐のため、セシリアは、エリーゼという人格に、姉の淑やかさ、兄の優しさ、父の寛容さ、母の強さを背負い、共に赤い悪魔に罪を突きつけます。
レナンドの死の間際の邂逅で、赤い悪魔ではない赤い迷子の子と、復讐鬼エリーゼではないセシリアのエピソード。ただのレナンドとただのセシリアとしての最後のシーンは鳥肌と涙とまらなかった。
タイトルや表紙は柔らかい印象、でも中身はガツンとドロリとした物語でした。
レナンドの夢見た、セシリアと子供たちの幸せな未来は、図らずもセシリアの最期の、絶望の中の、夢見た未来だった。
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