このレビューはネタバレを含みます▼
京介、クズかな?あんな家庭環境、父親が女にだらしなくて心を病んだ母親に捨てられ、父のハーレム状態になった家に押しかける愛人達に利用されたり邪魔者扱いされたり…それで家に居場所がなくなった子供が人を愛したり愛されたりすることが出来なくなって当然だと思いました。誰も愛せないのにイケメンでスペック高いから言い寄られるのが後を絶たず、断るのが面倒で次に告ってきた人と付き合おうと思ったところに来たのがさっちゃん。冒頭の『さっちゃん、あのとき君と〜』がいろいろと言われてますが個人的には京介はエッチがしたかっただけではなく、子供の頃のトラウマから自分をただ受け入れて欲しかったのだと思いました。だからまた拒絶されるのが怖くてこの後さっちゃんとの身体の関係を避けていたのかな…と。だから心や愛とか関係なく、欲望だけで自分を求めてくる国木田妻との不倫にのめり込んだのだと思いました。国木田夫婦は明らかにコミュ不足で両想いなのに愛されてないと勘違いして迷惑かけて…。国木田夫は慰謝料取るよりも迷惑料を京介に払うべきなのでは?さっちゃんも、なんだかんだ言っても、心入れ替えてちゃんと愛してくれるようになっても信じきれないトラウマな遠恋の恋人より、そばにいて自分に真っ直ぐに好意を向けてくれる優しいハイスペイケメンな伊勢埼くんに乗り換えただけな気が。機械音痴なさっちゃんがだんだんスマホを使いこなせるようになったり、地味だったのがオシャレをするようになり華やかになっていくことで、伊勢埼くんへの想いが強くなっているのと2人の距離が近くなっていくのを間接的に上手く表現していると思いました。京介に別れを告げたのも伊勢埼くんといい雰囲気になった後だし、数年後2人は結婚してるし。京介に一途だと思いきや別にイケメンでハイスペなら誰でも良かったんじゃないの?とガッカリしました。そんなさっちゃんの本性を知らずに大学時代に別れてアラフォーまで引きずってる京介も哀れだけど、やっと出会えた好きになれそうな相手が………!!そこは断って欲しかったよ、京介。受け入れるんかい???やっと長い重い話に少し明るさが見えたと思ったら、最後の最後でまた新たな地獄の始まりとは…。登場人物の誰の行動にも気持ちにも共感出来ませんが、愛したい、愛されている実感が欲しい…けど自分が一番大事的な人間のエゴ丸出し目線で読んだら納得出来る作品だと思います。