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山岸凉子

ホラーと違う怖さ

ネタバレ
2024年6月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 表題作「鬼」はオウム真理教事件があった頃の話みたいですが、飢饉を扱った話で、子どもへの仕打ちは記録に基づかない作者の想像としても、飢えも生きたまま閉じ込める生き地獄も悲惨極まりないのがよくわかり怖いです。話は飢餓の怖さにホラーも混ざって行ったりきたりします。主に弔いの話。親を許せないままでも成仏してほしい。

貧乏人の子沢山というけど、縄文時代だと子どもは平均2人狩りの少ない冬に産まれるようバースコントロールしてたらしいです。為政者の下に置かれてからは、計画性無くして避妊せず妻に産めるだけ産ませ、育てられないからと売ったり捨てたりと考える力をなくされてたことも恐ろしいです。

二作目はより時代を感じます。作者は「ケサランパサラン」でも「事件は欲が発端」と被害者のせいにしてるけど、ここも「本当の被害者なら恥じ入るはず。被害者だと言って回るのは構ってほしいだけ」みたいな発言。それが被害者が相談できない、被害届もだせない原因になっていた世間の価値観。なぜ被害者が恥じる必要が。ただ1981年の作品なわけで、今わざわざ再発表することないのにな。
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