チムニーズ館の秘密
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チムニーズ館の秘密

榛野なな恵/アガサ・クリスティー

アガサクリスティ3作品集ギュッと煮詰めた?

2024年6月25日
表題作64頁、追憶のローズマリー67頁、ソルトクリークの秘密の夏72頁。ファッション解説4頁。
シーモア(島)で薦められているのをみて。
抜き方が巧いというのか、纏め方が巧いというのか。恐らく原作から驚異的な文字数にサイズダウンしているであろうのに(原作未読です)、変な駆け足は無かった。但し人物が大勢出てくる所は、関係者同士の関係整理しながら読み進める必要はある。
絵におとぼけがあって英国を感じる空気がある。スコットランドヤードも、登場すると、そうなのかと感じさせ、館やその外の感じもいかにも作品設定上の舞台を思わせる。
いろいろ(死体処理、疑わしき関係者達の離合集散の偶然性等々)と突っ込みたくなることがあるのに、いやいやこれで一区切り、と各話読後に蒸し返す野暮は、したくなくなる。

動機の裏のドラマや、一見そう見えなかった人の真実など、榛野先生のさり気ない描写で、こうしたジャンル特有の終盤の種明かしが読み手の私を気持ちよく裏切ってくれて、これで3作品も詰め込んだというのが信じられない!
(シーモア(島)で島民の方のお勧めにより読むに至り、要はコレは自力で見つけられないタイプの書籍。教えてくださって感謝です!)
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