紙の舟で眠る【単行本版】
」のレビュー

紙の舟で眠る【単行本版】

八田てき

深い‥とても深い作品

ネタバレ
2024年6月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ この作品に出逢えて良かった…
間違いなく超大作。上下巻で超大作?と思われるかもしれませんが、ストーリーの濃密さや繊細さ、情景や画の緻密さなど、ズッシリとした読後感で間違いなく超大作。他の方のレビューにもありましたが、ぜひ読み返しをおすすめします。ストーリー重視で性描写は少なめです。作中に出てくる薬はヒロポンですよね。
当時は薬局で普通に売られていて、現在のエナドリ感覚で使われていた薬(注:成分、薬効はエナドリと全く別物です)物書きである主人公とその父親も産み出す苦しみから(主人公は溢れる言葉を書き連ねるため?)薬の常用者となり、薬に苦しめられますが、その描写も凄い世界観で現されています。また私はBLの涙が好きですが、主人公二人の涙が、それはそれは美しい‥
性行為も快楽や享楽とは別物の、二人が生を感じて命を確認する神聖な行為のように思えます。
お互い複雑な出自で育ち、一度死にかけ、奇跡の出会いをした二人が呪縛から解かれ、なんのしがらみもなく作品をつくって穏やかに生きていけるよう、願わずにはいられません。
八田先生の作品に出会えて良かった!
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