おおかみルゥと過保護な冒険者【シーモア限定特典付き】(イラスト付き)
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おおかみルゥと過保護な冒険者【シーモア限定特典付き】(イラスト付き)

伊達きよ/犬居葉菜

お休みなさいまた明日で終わる幸せな日々

ネタバレ
2024年7月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ 薬草取りしかできない末端冒険者のエミリオは、冬山での凶悪なドラゴンと特級冒険者•リカルドとの戦闘に巻き込まれてしまいます。死の間際に幸運のチャームを握りしめたエミリオは、時を同じくして目と前で息絶えた人狼の子供の身体に魂を移していました。次に気がつくと子狼(中身エミリオ)はリカルドに保護されており、ルーシィと名付けられて手厚く大切に育てられるのでした。他にも兄弟のいた中で見捨てられたルゥはいわゆる「外れ物」で、成長も遅くヒョロヒョロとひ弱ですが、リカルドは甲斐甲斐しく愛情を注ぎ続けます。それどころか過保護が過ぎて、その有り余る体力と財力とで思う存分ルゥを甘やかすのでした。元の冴えないエミリオの記憶がしっかりあるルゥは、リカルドを騙している罪悪感に苛まれるうちに人狼の兄弟マシュウと出会います。マシュウは人狼ならではの臭覚で、ルゥの身体が自分の兄弟で中身が違うことを嗅ぎつけます。そして人狼の成人の儀の為にルゥの母親を探す旅に出るのでした。自身も吸血鬼の外れ物であるリカルドはルゥを初めての家族として命より大切にするのですが、孤独に過ごしてきた時間が余りにも長くて恋人や伴侶という感覚が掴めません。ただ「お休みなさい、また明日」と言うと明日も一緒にいられるとルゥに教えられて律儀に守ります。そんなリカルドを切なく思いながら、自分がエミリオだと告げられないルゥ、二人の色んな形の愛が詰め込まれたお話です。特級冒険者のリカルドと美しき人狼ルゥとの冒険譚はこれからも続くそうです。
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