パブリックスクール
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パブリックスクール

樋口美沙緒

エド礼もさることながら

2024年7月2日
【ツバメと殉教者1】
エド礼も大好きだけど、私はスタン桂人すごく好き。
礼も桂人も、どちらも愛が重いし根本の愛への意識は似ている気がするが。
礼は愛を信じて愛することを教えられて育ち、対して桂人は愛を知らずに愛に傷つき諦め自分の人生から排除していたが・・・でも心の深いところでは愛情深い2人だった。

このシリーズに出てくる主人公は、みんな家庭にトラウマがあり、内容はとても重い。
だけど、自分の力と周りの力で救済されていく様が素晴らしい文で描かれている。
重い物語が苦手な方もぜひ読んで欲しい。

【2巻まで】
純貴族と、妾の子、いわゆる混血。
血の違いによるしがらみや、名家だからこそマイノリティが認められない苦しみ。
礼の純粋さや優しさと違った形で、エドも実は優しい。その辛く当たる行動の意味が読者はわかるけど当事者に伝わってないのがもどかしいが(伝わらないのもわかるってほどに、辛い経験が多すぎるけれど)相手への深い愛ゆえにとっている行動なのが苦しい。
礼のオーリーとの出会いから徐々に取り巻く環境が変わって少し明るい世界観になった2巻。エド礼の心がようやく通い合え、苦しみからの開放の流れがとても良かった。ネタバレしたくないので、そうなるためにエドがそれまでどのように過ごしていたのかなどは表記しないが愛の深さが伝わるエピソードが後半怒涛のように溢れていて感動する。
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