どうせ捨てられるのなら、最後に好きにさせていただきます
」のレビュー

どうせ捨てられるのなら、最後に好きにさせていただきます

セレン/碧貴子/すらだまみ

賛否両論あるのはわかる

2024年7月5日
とにかく拗れまくる二人の愛憎劇です。二人とも責任感が強く不器用すぎるが故にとにかくすれ違いまくる。
確かにリュシーがやってる事は本当にクズだしヘタレだし、長年アニエスを苦しめ追い詰めた事も許される事では無い。ただ彼にも根の深い事情があって…という展開なのですが(3巻まで読むとひと通りの事情は描かれています)、もうどんな事情があったとしても許せない!無理!ざまぁ展開希望!という方は最後まで読んでもスッキリしないかもしれません。
アニエスは頑固な所はあるものの、強く健気で愛情深い女性で、個人的にはとにかくアニエスに幸せになって欲しいので、もうクズ王子でもアニエスが選んだ人なら仕方ない!という気持ち。
正直二人の心情を理解できず、この作品が合わないという人もいると思います。正しい正しくないで言うとリュシーは間違えてばかりの人間だし、そんな人を想うアニエスに共感できない人がいるのもわかる。
でも人の気持ちってそう簡単なものでは無くて…一人の人間に対して深い愛情と、それがあるからこその強く深い憎しみを同時に持ってしまう事っていくらでもある。そして、そんな自分をコントロールできない事も。みんなが聖人君子のできた人間なら物語は始まらない。読んでいて苦しくなる様な愛憎劇ですが、個人的には人間がよく描かれている作品で好きです。
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