有閑倶楽部 カラー版
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有閑倶楽部 カラー版

一条ゆかり

高3生6人の冒険アクション+オカルト大傑作

2024年7月7日
移動用乗物は電車含めいろいろ出てくるが、カーチェイスや剣菱家の車のデコ、ヘリコプターが空をブンブン、剣菱家のヘリのデコ、見ていて楽しませてくれる工夫満載なのが判る。お金持ち設定なので、狭いところでチマチマやってない。世界に飛び出す。スキーリゾートも南国リゾートも舞台に。雪のシーンはリゾート地舞台であるとないとにかかわらず素敵だ。香港マフィアもKGBも噛んでくる。お金持ちのお嬢ちゃん坊ちゃん学校の中でもとびきり羨望を集めるセレブな6人、ストーリーでは何度も誘拐されたり人質になったり。でも自分達の知恵と体力で窮地脱出。財閥令嬢だから身代金目当てに巻き込まれるのではなく事後発覚ばかり。本当に楽しく読んだ。
元々がカラー頁が多いと踏んで、カラー版を選んで大正解(私は本来全部彩色ではなく白黒仕上げの漫画の表現に魅力を感じている人間)。ベタッとした塗りではなく、淡さの備わった加減の調整された彩色が上品。
各話で組み立てられ一件毎解決しているからどこで一旦止めても続きを読みに戻りやすい。纏まりが有り、読ませどころの絵の力はすごく、それでいて細部まで行き届いた配慮を感じる背景と共に、悪い人物像の圧がパンチを持ってる。陰謀や背景となった事情が組み合わさり、ストーリーも頁数に収まってるのが不思議なほど読み応えあり。
病院から不在者投票したが折しも本日都知事選挙の日。都知事選の回の話もぶっ飛んでいて可笑しかった。
曜変天目茶碗、私も静嘉堂文庫で実物を見ている為、清四郎や贋作師の気分が判るしオチにもクスリ。
第11巻は後半が一条ゆかり先生作品を読んできている人のための企画。愉快なトリビュート付き。作品のみ読みたい人は余分に感じるか判らないが、先生ご自身の作品中のお言葉通り、無駄に見えて無駄にはなってない。各話最後に付いてるmakingや、10巻のあとがき、さらにその11巻の企画は一条ゆかり先生人となりも認識する参考となる上、舞台裏をサラリと触れているので深く作品を理解出来る楽しさがあった。
第1巻が1981年。私は悠里と違ってオカルト体質はないが、1979年夏、旅で知り合いになった男の子が「一条ゆかり知ってる?」、「『デザイナー』の?」、「有閑倶楽部って面白いのがあるから絶対読んでみてね」、と確かに私たちに言ったのだ。だから私は作品名をその時に覚えていた。リアルタイムには読まなかったが、いつか読む気で記憶したのだ。
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