外れた首輪を捨てるとき【単行本版】【シーモア限定特典付き】
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外れた首輪を捨てるとき【単行本版】【シーモア限定特典付き】

爺太

首輪、とっくに外れています!

ネタバレ
2024年7月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 出会うきっかけとなった二人共通の元彼さんは、クズでありちょっと可哀そうな人。
二人も(他の数多の恋人たちも)それぞれに素晴らしいキャラクターなのに、誰といても満たされないなんて。
一度、自分自身に深く向き合ってみることをお勧めします(誰目線)。

後に大地さんが「魅力的だった」と言っているように、二人は出会った時からお互いの新鮮さに惹かれていたんだと思います。
新しく生まれた想いをすぐに「恋」だと認識、自覚するのは個人差、タイムラグがあるので仕方ないような。
陸くんはどんな恋愛にも真剣に向き合ってきた描写(オネエさま達の会話から)があるため、その辺はスピーディだったのでしょう。
ラフなようでいて実は繊細な陸くん、大らかゆえに鈍感な大地さん、その絶妙なすれ違い!
でも相性的には抜群だと思います。

恋人(だった人)を大切に想う姿勢は素敵なのですが、明らかに復縁が無理な相手との「物」「思い出」を引きずるのは精神衛生上しんどいです。
大地さんは恋愛バブでその辺の切り替えが上手くできず未練たっぷりで、見ていて可哀そうでした。

自身も失恋で辛いのに、それでも同じ立場の大地さんの気を紛らわせようとあれこれ動いてあげる優しい陸くん。
それが大地さんへの新しい恋心とごっちゃになって、結果罪悪感に苛まれて。
相手に隠し事をしていることを良しとせず、玉砕覚悟できちんと全て打ち明けにいく姿は大変男前で、本当に良い性格、男女問わずモテそうです。

しっかり者の役割を果たす長男という性格的に人前では涙を見せられない陸くんが、大地さんにド正論で詰められ泣く姿は、こちらも胸が塞がれました。
自分自身にもがっかりしちゃったんでしょうね。

最後は大地さんが覚醒し、対元彼よりもさらに溺愛キャラに進化していたのが印象的でした。
陸くん相手なら、ごく初めから甘えられる、自身の内面をさらけ出せると心許していたので、とっくに「元彼の代わり」ではなく失恋を一緒に乗り越えてくれた陸くんを今後めちゃめちゃ大事にしてくれるでしょう。
終盤の大地さんのデレっぷり、最高です!

シーモアさん特典のお話も、二人の恋愛に対するスタンスの違いがかえって良いハーモニーになっていていい関係性だなぁと思いました。
先生はキャラクターの心の機微を描かれるのがとってもお上手で、素敵なお話との出会いに感謝しています!
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