貴族から庶民になったので、婚約を解消されました!
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貴族から庶民になったので、婚約を解消されました!

大岩ケンヂ/小鳥遊 郁/椋本夏夜

読み進めるとすごく魅力的なお話になります

ネタバレ
2024年7月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 5巻読了。
巻数が増すごとに面白くなる作品です。
ただ、タイトルはいただけません!流行りの言葉で誘う感じがあざといし、内容と合っていません。
『チェンジリングで過酷な運命を辿る二人』が主軸なのだから、それに見合ったタイトルにして欲しかったと強く思います。
庶民だったのに貴族として育てられたが、癒しの魔法が使えない為、両親の愛には恵まれなかった「アンナ」。貴族の証(アカシ)金髪碧眼だった為、父親から疎まれ居場所がなかった「アネット」。
イタズラ妖精の気まぐれで、生まれを取り替えられてしまうという運命に晒され、与えられた環境で、逞しく生きていこうとする二人。
まず、「アンナ」視点から物語は動き始めますが、「アネット」視点でも紡がれます。そして貴族の兄視点、庶民の弟たち視点、庶民の母、そして5巻に出てくる庶民の父視点、婚約者だった「エドモンド」視点と、それぞれの立場から、この辛いコトの顛末が語られます。
「クリュー」という、チェンジリングをした妖精ではなく、それを見ていた妖精が、コトが明らかになる一年前にやってきて「アンナ」に真実を告げるのですが、真実を知ってしまった彼女は、家族に告げる事に葛藤します。今、恵まれている全てを手放さなければならないから。唯一優しかった兄の愛情を失ってしまうから・・・。だからこそ、2巻の兄の断罪は辛かった!これまでの異世界モノは、どんなに断罪されようとも、ソレは真実では無く冤罪だったからまだよかった。でも本作で、兄に指摘された事柄は、アンナにとって言い訳のできないモノだったから。再会を喜ぶ貴族家の人たちの姿を遠くで茫然と見ていた彼女は、そのまま置き去りにされてしまう。
このシーンはものすごく辛い場面でした。
そして、それを乗り越えてのその後の展開。貴族として生きた矜持が、人柄の良さが、それからのアンナを助けます。
クリューという妖精の謎、アネットの淡い想い・・等々、そして結ばれる事のない貴族と庶民の立場の元婚約者との関係。お話がどうなっていくのか気になります。
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