鼻下長紳士回顧録
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鼻下長紳士回顧録

安野モヨコ

美しいのに、気持ちが落ち込む一作

2024年7月20日
西洋史をガチでやっていた者です。
出てくる人々の死にゆく様が全部思い浮かんでしまい、読んでいるだけで非常に鬱でありました。この混沌の時代の娼婦や、下層の町人というのは、基本的に人権に近しいものを一つとして持ち合わせていなかったものですから、まあ簡単に死ぬのです。大した理由もない殺人が起き、司法がそれを無罪とした時代ですからね。。。
ただ、ものすごく美しいです。それは間違いない……19世紀文学そのものといっていいほど、当時のエッセンスが詰まっています。お好きな方は絶対に好きなはずなので、オススメです。
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