「ベルばら」の功績と罪





2024年7月22日
改めて言うまでもなく、少女漫画の最高傑作の一つ。華麗な作画とドラマティックで壮大なストーリー。これが半世紀以上も昔(連載開始は1972年!)に描かれたとは信じられない。連載終了後もたびたび外伝が出ていることから、今でも大人気なのが分かります。この作品がきっかけで、フランスやその歴史に興味を持った人は多いでしょうね(もちろん私もその1人)。その功績は偉大だと思いますが、同時にデュ・バリー夫人やポリニャック夫人を実際以上に「悪女」として描いたという「罪」についても考えずにはいられません。フランスに嫁いだばかりのアントワネットの無垢さや潔癖さを読者に印象づけるためには、デュ・バリー夫人は「汚らわしい卑しい女」である必要があるし、アントワネットの人の良さや気前の良さを印象づけるには、ポリニャック夫人はそこにつけ込む「がめついちゃっかり屋」でなければならない。実際の2人はそこまでひどい人ではなかったようですが、この作品の影響で、2人には完全に悪女のイメージがついてしまったように思います。こういった「盛り」はやむを得ないんでしょうけど、2人にはちょっと気の毒ですね。余談ですが、ポリニャック家は今も続いていて、ポリニャック夫人の子孫の1人はモナコ公国の大公!! 歴史って面白いなぁ。そして歴史の面白さを知るきっかけになった「ベルばら」は、やっぱりすごい。

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