オアイコ。【電子限定描き下ろし付き】
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オアイコ。【電子限定描き下ろし付き】

美山薫子

カースト上位グループから抜けるってこと

ネタバレ
2024年7月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ カースト上位男子(彼女持ち)×黒髪マスク図書委員(マイノリティ自覚済み)の同級生BL。受けがマスクを外さない理由にはグッときた。先着レビュアーさん、ありがとう。あなたのレビューがあったから買いました。作家さんの力量を知っているので、画力もストーリー構成も巧みで、満足度は高かった。だけど主人公の攻めの流され体質と、攻めの彼女の暴走がしんどく星4評価です。攻めの清春はオタク趣味があることを隠してイケイケ集団に属していたが、周りから囃し立てられて付き合いだした彼女にウンザリして、隠れるためにやってきた図書室で出会ったミズキが気になって…、てコレ、高校生だから爽やかに感じるけど、オッサンだったら「家庭を持ったけれど、嫁にウンザリ。そんな時に出会った彼女に惹かれてーー」みたいな地獄の設定だよ。彼女を見下しながら一年間カレカノごっこを続けるってさあ、理想の彼氏を演じてはいたんだろうけど、彼女にバレていたあたり爪が甘い。甘すぎる。案の定、彼女の不満が爆発してミズキを巻き込んだ修羅場に発展。同級生たちの目の前で…なカミングアウトはしんどかった。卒業式で、それまでのダチから歩み寄りはされたけれど、クラスのグループLINEに色々書かれているって情報も出てきてた。受けと出会わなければ、この先つづいていくはずだった地元での親交を、受けを選んだと、その事実を、流れで公言したことで、今までのコミュニティに(お前たちとは、大事な秘密を打ち明けるような間柄じゃなかった)と切り捨てたようにも伝わったんじゃないだろうか。苦しい…。「大多数より君を選ぶ」が、キャーかっこいい…と思えん地獄。攻めが大事にしていたコミュニティから、あと先を考えずに抜けて、受けと生きていくっていうには、受けが恋愛に冷静すぎるのもなあ…、大丈夫?受けは攻めが同級生たちの目の前で告白したことでつらい思いをしない?作中で、攻めのお家が、地元ではどうやら大きな家らしく、攻めが東京に進学するなんて考えもしていなかった…つまり跡取りとして地元を離れる選択肢がなさそうな環境にあるって深読みしたんだけど、そういう息苦しさや鬱屈から逃れるために受けを選んだ、とか無いよね。オマケ漫画で、ようやく関係を深めた2人だけれど、これで終わりっていうのは、ちょっとモヤモヤがはれない。続編の大学生編をお待ちしています。あっと思わせてください先生。
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