長浜To Be,or Not To Be[コミックス版]
」のレビュー

長浜To Be,or Not To Be[コミックス版]

スカーレット・ベリ子

二人の感じがいい。それを見ていろいろ貰う

ネタバレ
2024年7月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ BLはこれまで400作品くらい読んできているが、十指に入れたいくらいの素晴らしさだった。全て描かなくてもいい、しかしそういう饒舌感無しに二人の感じをいろいろ語ってくるのが素晴らしい。言葉に頼りすぎず見せてきて、一方でお互いの殺し文句はここぞと決めてくる。周囲となんの軋轢もなく、穏やかな中にある小さな小さな詰め切れなかった間のものを、二人で確認して解消するところに本作の味わいがキラキラ。それぞれの照れの絵が読み手の気持ちを煽るし、二人がだた過ごす時間というのも雰囲気に入り込めて良かった。方言満載の地域感から来るケンの無い空気もいいし、突然の「ダメな男にはいい女がいる~博多の法則」など、全体が和みムードのところに他愛ない遠恋エピソード、BLでなくてもごくありふれたストーリー回しであるはずなのに、「大型犬」はあくまで愛嬌で乗り切ってしまう。主人公でなくても、あんな相手に惚れたら弱いだろうとは思う。一颯が魅力的過ぎて。
しかし市場ならまだしも、港町(離れた場所)で待つ、これは辛いかと。
描く力がすごいと、こういうストーリーが珠玉の場面溢れる作品になる、そんなことを見せつけられた。表題作153頁(2023年3,5,7,9,11月号)と、描き下ろし「制服の選び方」19頁、エクストラ頁やおまけなど4頁ほど。
いいねしたユーザ2人
レビューをシェアしよう!