ドント・ルックバック
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ドント・ルックバック

ジョシュ・ラニヨン/冬斗亜紀/藤たまき

記憶喪失から真実の発見と過去からの脱却

ネタバレ
2024年7月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ こちらは配信中となっていますが、事件も二人の関係も決着しているので完結とみていい気がします。記憶喪失ものは、キャラクター本人もだけど読者も、あの真実(記憶)を追い求める過程にドキドキしますよね。今回は途中から「記憶喪失の原因は心因性のもの」と分かるので、記憶を消してしまいたいほど衝撃的な何かって何だろうと、不謹慎にもワクワク読み進めてしまいました。
この作家さんの主人公は、だいたい30代以降の落ち着いたキャラが多くて、いつも冷静な心理描写の掘り下げが魅力です。今回もピーターの失われた記憶を補うように、いつもに増して細かな人間観察と心理描写で、敵味方を選り分けるように読み進めるのが楽しかったです。
記憶を失うほどショックな事は不幸・不運でしかないかもしれないけれど、失ったからこそゼロから始めるように冷静な目で、新鮮な気持ちで人間関係を見直す事ができ、記憶を取り戻した上で乗り越えることができた…結果的には良かったのではないかと思いました。
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