ドント・ルックバック
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ドント・ルックバック

ジョシュ・ラニヨン/冬斗亜紀/藤たまき

永い片思いの相手を忘れてしまいたい時

ネタバレ
2024年7月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 個人美術館のキュレーターであるピーター•キリアンは何者かに襲撃されて頭部を強打、その前後と一部の記憶を失います。ピーターは意識の戻る直前、誰かとベッドを共にする夢をみます。その相手をコールと呼んでピーターが幸せな気持ちで目覚めると、傍には厳しい顔つきの刑事がいました。強盗殺人課のマイケル•グリフィンは、ピーターの勤める美術館で盗難が続いていたこと、2日前にピーターが美術館の庭園の奥で貴重な壁画を運び出そうとしている泥棒と鉢合わせして殴られたことを告げます。そしてグリフィンはあからさまにピーターを犯人扱いしてくるのでした。どうやらピーターは美術館の創設者の孫で雇い主であるコール•コンスタンティンに学生時代から片思いをしていたようなのですが、美術館の盗難とコールに関することの一切が思い出せません。記憶が戻り切らないままにグリフィンに追い詰められ、ピーター自身が自分を疑いかねない情況にハラハラしながら解決の糸口と恋とを手繰り寄せてゆくミステリーロマンスです。主人公ピーターの繊細な造形やスパッと終わるエンディングは作者さまの他の作品と共通する味わいです。恋愛下手なピーターですが、ロマとジェシカという元気いっぱいの温かい友人にほっとします。
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