清く正しく優しく暴いて
」のレビュー

清く正しく優しく暴いて

ほわこ

暴いて暴かれて

ネタバレ
2024年8月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ これあらすじや試し読みでは分からないんですけど相互救済ですね。この世で一番好きな関係性が相互救済なので、思いがけぬところで会えて良かったです。恋愛ものは結構相互救済に出会いやすくて助かる。
寂しがり屋故に軽薄女たらしな狗井さん×家族から女性を大事にする価値観を刷り込まれてきた堅く真面目な藤永さん。要素は正反対、最初は特に藤永さんが狗井さんに対して反感を抱いていますが、どんどんお互いに影響を受け、反感が情に変わり、二人の関係性は二転三転。流れだけ見るとよくある、ちょっとドラマチックでロマンチックなBLものの話だな、と思うのですが、藤永さんのモノローグがすごく細かくかつ分かりやすくて、心情と関係性の変化が入ってきやすい。モノローグだけでなく、場面描写や人物の表情、一つ一つの要素に丁寧さが感じられて、読んでいて流れだけじゃない楽しさがありました。個人的に感情移入しやすかった、というのがまとめです。大事にしたいのも分かる、大事にできるかどうか分からない不安も分かる、大事にされなくてもいいと思うのも分かる。好きだから大事にしたい、大事にされなくても好き。好きの気持ちがどこにあるかなんですよね。自分を犠牲にしてでも藤永さんに幸せになってほしい狗井さんと、狗井さんを犠牲にせず二人で未来を探したい藤永さんの対比が良かった。最後に表紙下の描き下ろし読んで、泣きそうでした。もう何が好きって、相互救済も好きなんですけど、人が誠実になっていく様が好きなんですよ…!
こういう登場人物の心情ものだと、尊敬や憧れの気持ちで読み終えることが多いのですが、マッッッッッジでこれエッ………………とろとろの顔とか声とか、あと男性向けに近い表現とか、ちょっと!素直にご起立なんですけど!そういうシーンが己の癖に刺さりすぎて笑っちゃった。この作品のR18ブックとかあったら買っちゃうよ〜
いいねしたユーザ3人
レビューをシェアしよう!