このレビューはネタバレを含みます▼
高校の同級生•颯太と葵生はアパートの隣同士に住んでいます｡怪我で陸上を諦めた颯太は就職し､葵生は美大を中退して絵本作家としてデビューしました｡ところがアパートの火事で2階から飛び降りた葵生は､頭部を強打し記憶を失ってしまいます｡葵生には年上の不実な恋人がおり､アパートの薄い壁越しに葵生の声を聞かされていた颯太は葵生への恋心を自覚すると共に行き場の無い想いに苦しんでいたのでした｡颯太は葵生の記憶喪失をチャンスに､自分が葵生の恋人だと嘘をつく決心をします｡素直に颯太を恋人だと信じる葵生に良心の呵責を覚えながらも､だんだん笑顔を取り戻してゆく葵生の姿に颯太も生活にハリが出てきます｡ところが葵生の本当の彼氏が現れた上に､記憶の無い葵生の中に彼氏が存在する現実を颯太は突きつけられるのでした｡クズ彼氏に泣かされていた葵生を大切にしたい､幸せにしたいと願いながらも､罪悪感に苦しむ颯太の｢普通｣の感覚を尊く感じました｡
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