このレビューはネタバレを含みます▼
究極の愛の物語が、仁嶋中道先生の魅力的な主人公達と細部まで丁寧に描き込まれた背景で展開される。読者を引き込ませるストリー展開に、LGBTと言う難解なテーマが絡んだ珠玉の名作である。
カフェfaroの店主海原千秋は、どこかクールなイケメン。メニューはココア一点のみ。そこへ挙動不審で金髪の青年早川渚が訪ねて来る。実は、失踪した千秋の母の訃報を伝えに来たのだった。性別不合で苦しみ、我が子を捨てた後悔の末、急死した母珠希。娘を理解しなかった祖母の後悔。自分の傷口を舐めるばかりで母を疎んできた千秋の後悔。これらを全部引っくるめて、渚の愛が包み込む。作者の後書きにもあるように、千秋と渚は今後、末長く愛を育んで行くだろう。