ミステリと言う勿れ
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ミステリと言う勿れ

田村由美

推理じゃなく心理と当然

2024年8月6日
探偵と言えば事件が起きた、さあ推理するぞと状況証拠をかき集めてそこから不可能を排除して解答を導き出すけど
この作品は推理では無くて心理を観察した結果として当然に出てくる答えが犯人を推理してしまうと言うか
事件の起きる起きないは関係なく関わったら暴かれる犯人からしたら厄介極まる主人公だなって感想
コロンボ臭いけど彼は最初から当たりを付けて補完するタイプだしまっさらなキャンバスに色つけて行ったら解決する絵になったみたいな推理より何故に事件に至ったのかって興味に重点を置いたのかな?
ともあれ楽しめるって意味では満点に近い
星4.5で繰り上げの5って評価です
似たタイプだと氷菓の主人公も理屈と可能性を重視するけどあれは推理するからちょっと違うか

まあ個人の感想はそんなところで
読んでて補完したいなと感じた部分をネタバレしないようにボカして書くと
病室での3つの問いかけだけど探偵として補完するなら彼は事件から学んでしまった
いや毒されたのかな?
どちらにしても悪人になったのにそれを擁護する言葉は沢山出るのに
最低の男の末路には作中誰も興味を抱かないんだなと
他のどの事件も真の悪人はサッパリしていて理由がある悪人には慈悲が与えられてるのが探偵ものとしてなら欠陥になるだろうなと感じた
境遇とか感情はどうあれ犯罪者を『だから仕方ない』と思わせるような描き方は読み手が幼いと悪影響を与えかねないので試みは面白いけど危ういなってのがあるなとレビューに書きたかった
そこがマイナス0.5点で4.5点の評価
確かにミステリとしては駄目な作品
犯罪を美化し過ぎなんだなと思ってしまう

金田一少年のウザいピエロとかもだけど美形の犯罪者が生涯の友達みたいな感覚で野放しになる話は個人的には嫌いなのですよ
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