このレビューはネタバレを含みます▼
上巻を読んでいる時点では、面白い着眼点ではあるものの全体的には似たり寄ったり、平坦な流れだから続きはもういいかな‥と思っていたのですが下巻で完結なのでそれならばと最後まで読んでみました。
作品の根幹的な、この兄弟の存在の謎の種明かしにはそう来たか~~!!!ととても感激でした!!
世界の箱庭システム、美しい世界で生きる為の命と引き換えに兄の背負った業、愛情で守られてきた無知で無垢な弟、何も持っていない 筈なのに部屋に入れた理由、等々 諸々の真実を知り兄を失くし絶望と後悔とそして理解した己の業を今度は自らで背負い、これからはこの箱庭世界でひとり、生きていくんだ、、、
という素晴らしい展開にならないのが、残念すぎる!!!
ストーリー的には本当は恐ろしいグリム童話路線ではあるけれど最終着地は完全ディズニーのそれにしたのですね…ハッピーエンドが大衆の好みなのでそういう舵切りになるのも解るし読者の評価を見てもそういう傾向の人が多いことは明らかなので、この終わり方が正解なのでしょう。なんか途中つらくて悲しい感じもあったけど兄弟がハッピーエンドで良かった~という安っぽい読了感で済まされて記憶から薄れて行ってしまう仕上がりが残念でなりません。とっても素敵な着眼点でしたのに!!!
初めてグリム童話に触れたこどもの頃を思い出しながら物語1つひとつのその後をそれぞれ楽しむ分にはサラリと読めて良いと思います。絵もメルヘン世界に似合った綺麗で可愛いタッチ、丁寧な作画でとても読みやすいです。
個人的には最後の最後の軽薄さ、台無し感が悲しかったので☆2とさせていただきました。でもこんな感想を抱く人間は私くらいなものでしょう。