名も知らず
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名も知らず

ヤナギナギ

評価分かれる作品

ネタバレ
2024年8月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 全巻読みました。

多分、序盤で脱落したり、相馬さんに悪者の烙印を押したり、彩音を自業自得だと思って嫌悪する方が多い作品に思います。

けれど中身をよく読んでから二人を想像すると、私は二人に嫌悪感を抱くことはできませんでした。

彩音はあの時まだ高校生で、遅れてやって来た初めての発情期で、頼れる保護者も友人もいませんでした。相馬さんは控えめな大学生で、理性を失うようなαの性を初めて経験して、責任を取れるような力はまだありませんでした。二人よりも大人である私は何とでも言えるのだろうけれど、全巻通して涙で顔をグチャグチャにしながら足掻く彼女達を、私は同情はしても非難はできない。

前半は彩音視点、後半は相馬さん視点で描くことで真相が徐々に見えてくるストーリー展開になっています。オメガバース作品としては珍しく心理描写重視の作品。だからこそ胸に刺さりました。最終巻のハッピーエンドは、他作品のそれよりも重いものに少なくとも私は感じました。
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