天使にお願い
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天使にお願い

あいざわ遥

お弁当が…!!

2024年8月16日
1995年12月全5巻。第1巻45頁、第2巻42頁、第3巻40頁、第4巻38頁、第5巻40頁。
主人公の頑張りは相手に届いているように見えないけれどもそうでもないのがミソな話。第4巻は松木君ちょっとヘタレ。こそこそしてるのでもなし、かといってサクサク関係が進むのでもなし、不器用に相手に向き合う二人のプロセスの二人そのものよりも環境描写に味があると感じた。
好きな娘にお弁当作りして落として結婚にこぎ着けた後輩を知っている。ちょうど1990年代には、男の子から女の子に対しても有効な手段ではあったのだ。
しかし本作品、数々のお弁当の結末のほうはなんだかほろ苦い。結果オーライとはいえ、お弁当に籠めた想いが行き場がなくて、読んでいてやりきれなかった。
高校生で作家デビューといえば(敬称略すみません)、新井素子、島本理生、綿矢りさ、羽田圭介と古くから数えきれず、中2でデビューの鈴木るりか、外数名を考えると、存在自体は知られており、本作の主人公が決して荒唐無稽ではないところが絶妙に興味深い設定となっている。
学校放課後や通学路の光景、部活を眺めるところなど高校生らしさを見せながら、若くしてプロ意識をしっかりと抱くのも素敵なこと。少女漫画界では十代デビューが昔からあり得るだけに、作品世界の見せてくれるものが単なる学園恋愛物に留まらなかったことが、私の眼には、甘えてばかりの状態を見せつけられない構成に対して好ましく感じ取れた。それが、高評価とさせていただいた理由。
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