花のみぞ知る
」のレビュー

花のみぞ知る

宝井理人

宝井先生の作品の中で1番好き

ネタバレ
2024年8月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 過去に好きになった人が世間体のために女性の恋人を作ったことで傷つきトラウマを抱える同性愛者の御崎と司法試験予備試験にも受かってしまうくらいハイスペックで何でもできて今まで恋愛含めて悩んだことなどない有川の運命の恋物語です。御崎と初めて出会った時、有川には彼女がいます。決して遊び人ではなくて、この彼女も本当に良い子!有川が無意識のうちに他の人に恋しちゃってるのに気づいて身を引くんです。この子にも幸せが待っていますように…!有川は今まで本当の恋をしたことがなかったけど、御崎と出会うことで人を好きになる時の懊悩や心がすれ違ってしまった時の苦しさ、愛する覚悟を知ります。その描写が丁寧で、宝井さんの綺麗で繊細な絵で表現されています。御崎は優しくてどこか掴みどころのない有川に徐々に惹かれていきますが、有川は異性愛者で自分とは違う、もう傷つきたくない、と心を閉ざしそうになってしまいます。有川の真っ直ぐな愛情を受けたことで御崎は一歩踏み出す勇気を出すことができました。
1、2巻丸々使って2人が惹かれ合い、葛藤、困難を乗り越えて想いが通じ合う過程が丁寧に描かれているので3巻で2人が心も身体も結ばれた瞬間の感動は本当にすごかったです。涙出ました。
御崎の過去の相手でストーカー並みに執着してる川端については御崎を傷つけてひどいなと思いつつも、彼も彼なりに世間体や親との関係で苦労してたんだなと思うと最終的に改心して御崎とも和解して昔の良い関係に戻れてよかったです。登場人物みんな優しいです。
『花のみやこで』も含めて読んで損はない名作です。
人が人を好きになること、想いが通じ合うことってなんて素晴らしいんだと思えて、純粋な恋に心が洗われる作品です。宝井さんの洗練された絵、言葉選び、どれも圧巻です。
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