このレビューはネタバレを含みます▼
タテ読み大嫌いな私でも夢中になって読んでしまうほど面白すぎるお話でした。人々のつながり方、一筋縄ではいかない個性の強い登場人物たちに、どうなるの?と読む手が止まらず…。しかも開政大学インカレサークル事件の真相を巡りサスペンス調で話がすすみ、勧善懲悪でない、いろんな人のいろんな考え方や過去が交じり合って、世の中の物事はたいてい白黒じゃないんだよなーと色々考えさせられます。里帆やちーちゃん(伊藤)の恋の仕方は難儀だなと思いますけど、本当に大変なのは成瀬や塚本のようなタイプ。ハマるともう他のことができなくなって、しかもハマる相手も一筋縄じゃない。間宮、鈴木、山本は一番「普通」でのんきな人たちでいいなって感じです(笑)。間宮は里帆に振り回されていましたが…いい奴ですよね(笑)。大野先輩も絶対あゆに騙されてると思いましたが、最後までその展開はなく、意外とこれでうまくいく感じ(笑)?一番闇が深い真央は、「恋癖」というより完全なミソジニー。一体過去に何があったのか(ちょっと過去のエピソードはありましたが、あれだけじゃないですよね)もう少し掘り下げてほしかった。人心掌握術がすごいので、失敗してもまた起き上がれる人だと思いますけど、なんか本人が全然幸せそうでないので、本当にこの人どうなっちゃうんだろうという気が。ゲイと言ってましたが、それも本当かどうか。ただ、過去に何があったとしても、それで他人を傷つけていい理由にはならないわけで。上田の彼女が上田と決別してユーチューバーデビューしてるのと対照的というか。上田の彼女も、過去を乗り越えて、「まともに社会人やって結婚して子供もいます」みたいなのじゃなく、メンヘラキャラでユーチューバーってあたりがリアリティあるというか。漫画ながら、信ぴょう性があります。目には目を、で藤沢姉妹が真央に復讐するやり方も、あくまで匂わせで、具体的に言わないあたりうまいなと思いましたね。今の時代、ちょっと匂わせればすぐに元ネタにたどり着かれてしまうというか、しかも、アプリそのもののサービスでなく、その背景にあった事件が元で炎上するあたり、今風でありそうと思いました。インターネットやソーシャルメディアって本当に言ったもん勝ち。拡散されてしまえば、あとからいかにお詫びや訂正の投稿があろうとも、嘘や誹謗中傷が一人歩きしてしまう。そんな怖い世界をうまく表現した漫画だと思います。