このレビューはネタバレを含みます▼
翻訳物を英田先生が超訳(翻訳は村井愛さん)されたとあって興味深く読みました。
ルドルフ大尉(ヒゲ攻)とマティアス中尉(金髪受)、軍人同士の禁断の愛。作品紹介にある通り、さあこれからという矢先に愛した人が記憶喪失になって2人の時間を全て忘れてしまうという悲劇に見舞われます。そこをどう乗り越えるのか、記憶は戻るのかがお話のキモになってくるのですが、愛した人のそばにいたいと健気に踏ん張るマティアスに次々襲いかかる出来事が本当に辛くて何度も心を痛めました。
写真の存在、過去の恋人、ルドルフの他人行儀な態度にマティアスの心は少しずつ削られていって。この様子に胸が苦しくなりつつも、2人のその後がどうにも気になり意気込んで読んだら最後の最後にようやく幸せを掴むという‥。
ルドルフの記憶もここまでマティアスを苦しめたのだから簡単に戻ったら興醒めだなと思っていたので、この顛末には概ね満足です。ルドルフの言葉を借りれば、本当に愛した人はたとえ記憶をなくしても2度恋に落ちるだけ、という揺るぎないものを見せつけられたので文句は言いませんが、それでもルドルフお前もう少し早く気付けよ!とは思いました。
全体的にやや暗め、ひたすらマティアスの健気受けを見守る切ないお話でした。イラストも良きです!